進学塾その5
進学塾…
お受験ブーム真っ最中の時代、医者や会社経営者の子供を預かり、
親の意向に合わせた難関校へと合格に導く仕事。こんな父兄を
相手にする塾なので、「年収800万円以上
なければウチの塾には通えない」
とも言われるような月謝・講習料だった。
お金をかけているだけに、親の子供に対する期待の大きさは
計り知れぬものがあったと思うが、かと言って、どの子も皆に
その能力があるわけではなく、親と子供の想いの乖離も大きく…
「能力がないのに無理な勉強をさせて子供を潰してしまうのでは」
という危惧を大いに持ちながら子供と一緒成長していった気がする。
親の望みは大きく、「開成に行かせたい」「灘に行かせたい」
プレッシャーはとにかく半端なかった。
毎週テストがあり、テストの点数でクラスの座席順が
決まるため、毎回のテスト後の座席順を見て、子供たちが一喜一憂
していた。
これも子供たちの「競争心」を煽る方法の一つであり、子供たちは
それを楽しんでいたような面もあるが、最上位クラスともなると、
定位置から座席が変わると大泣きする生徒、「もう辞める」と
ゴネる生徒も出てきて、父兄からも「ウチの子の座席順が落ちた!
どうしてくれるんだ!」というお怒りの電話をもらうことも多く…
親子、そしてオレたちそれぞれが大変だったな、と思う。